一番、センター柴田

今年の三月だったか小学校時代の友人から『元キャンディーズの蘭ちゃんが41年ぶりにコンサートやるらしいから行かないか？』と誘いを受け、ダメ元で応募したらなんと最前列のチケットが当たるというミラクルが起きた。

場所は東京ドームシティホール。奇しくも41年前にキャンディーズが解散コンサートを行なった後楽園球場の跡地にできた場所だ。

これまで何度か触れた事があるが、このキャンディーズ解散の日である1978年4月4日に我々本田兄弟は横浜スタジアムのこけら落とし『横浜対巨人』の試合を観に行っていた。
阪神ファンの兄弟が何故か？と言われたらチケットをもらったからと答えるしかないが、とにかくそんな訳だから正直どっちが勝とうがどうでも良かった。

小雨が降る中、一回の表ビジターである巨人の攻撃で
『一番、センター柴田！！』と呼び出された男が試合開始早々にいきなり2ベースヒットを打った。
するとウグイス嬢が『ただいま2ベースヒットを打った柴田選手には〇〇食品より〇〇の詰め合わせが贈られます』とアナウンスをしたものだから
俺は子供心に、プロ野球の選手はヒット一本打つごとに毎回贈り物をもられるのか・・・・・なんて良い商売なんだ！と思ったものだ。

ちなみにネットで調べたところこの日の開幕オーダーは
1 中 柴田勲
2 二 土井正三
3 左 張本勲
4 一 王貞治
5 右 柳田真宏
6 三 高田繁
7 遊 河埜和正
8 捕 山倉和博
9 投 小林繁
監督　長嶋茂雄

すごいメンバーだ。
レジェンド揃いじゃないか。
対する大洋だって斉藤明雄とか山下とかミヤーン(笑)とか

それなのに俺たち兄弟が交わしていた会話は
「後楽園、始まったかね？」「今頃何演奏してるかな？」
というキャンディーズの事ばかりだった。
柴田だろうが、黒江だろうが（出てません）、世界の王だろうがどうでも良かったのである。

一回の表の巨人の攻撃が終わる頃に、兄貴が
『聡、今から後楽園に行こう！』と言った。
『チケットないのにどうするの？』と心配する俺に向かって
『外で音聞くだけでも良いじゃないか！』と言ってニコッとした。

横浜球場が完成した最初のお披露目の試合、そして巨人戦という事でこれはいわゆるプレミアムチケットだったと思う。
せっかくいただいたものだったので後ろ髪を引かれはしたが、一回の裏が始まった頃には俺たち兄弟は球場を後にしていた。

小雨の降る後楽園球場の周りにはチケットが買えずに入れなかった人があふれていた。外に聞こえてくる彼女たちの歌声とMMPによる演奏、そして観客のすさまじいほどの歓声を聴きながら嬉しい気持ちと切ない気持ちが行き来したのを覚えている。
当然ながら中に入る事は出来なかった我々はそのまま帰宅した。
「試合どうだった？」と聞いてくたお袋に
「すごかったよ。柴田がヒット打ったら贈り物もらえて！」と微妙に野球と関係ない話でごまかした。
だがこれは球場に行かないと決して分からない情報だったので、ある意味アリバイとしては完璧だったと思う。
今から思えば、インターネットもない当時だから試合の結果を聞かれたら答えに窮しただろうが(笑)

 

41年ぶりにランちゃんのライブは、後半で懐かしいキャンディーズの曲が流れた。
この瞬間の会場の盛り上がりは半端なく例に漏れず俺も一緒に手を叩き声援を送ったが、実のところ頭の中では柴田のヒットを思い出していた。
そして兄貴と一緒に内緒で向かった後楽園球場の事を思い出していた。

 

今週末、そんな俺の兄貴がソロとしてキャリア初のホールコンサートを行う事になった。俺は昼間に札幌ドームで行われる『日本ハム対巨人』の試合に行く予定だが先頭の亀井の2ベース見たら途中で抜け出してくるつもりだ。

このライブは彼の長年のキャリアを振り返った時に後々まで語られるものになるのは間違いないと思います。おそらく当日券も多少は出ると思いますので是非ともご参加いただけたらと思います。

なお、当日会場物販コーナーで今回のGITANEライブのチケットを販売する予定です。こちらもどうぞ宜しくお願いします。

本田毅 1stソロアルバム発売記念ライブ

TAKESHI HONDA solo act “Effectric Guitar scape ZERO Band style”
2019年6月15日（土）
東京 全労済ホール / スペース・ゼロ
開場 16:00 / 開演 17:00
お問い合わせ/キャピタルヴィレッジ 03-3478-9999